レンタル中

3/14
前へ
/167ページ
次へ
″黙って頷いてればいいから″ そう言われたのを思い出して、きごちないながらも微笑んで大きく頷いた。 「……どちらのお嬢さん? おいくつ?」 金持ちなだけに、金持ちの家の娘としか交際してこなかったんだろう。 門口ママの品定めをするような目が怖い。 「大した家の娘じゃない。真樹は28歳だ」 あんたが言うな。 それに何で私の歳を知っている? 「青のお見合いの現場に現れるということは、ちゃんと先を考えてらっしゃるってこと?」 仕方ないので、それにも大きく頷いた。 「てことで、相手の女には断っておいてよ」 「あ、待ちなさいっ!青っ!」 色々聞かれる前にと思ってか、門口は私の肩を抱いたまま、レストランを立ち去ろうとした。 そこへ、 「遅れて申し訳ありません!」 また一人着物を着た夫人と、私と同じカシュクールのドレスを着た若い女が現れた。 私なんかと桁違いにドレスの似合う細身のスタイル、そして、茹で玉子を剥いたようなプリンとした肌。 何より、美人ーーーー きっとお見合い相手だ。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

208人が本棚に入れています
本棚に追加