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「調べたからだよ」 「は?」 門口は、特に悪びれた様子もなく、さらりと返事をした。 「調べるとかコワっ、何でそんなこと?」 思わず、門口のそばから離れる。 「前の会社を退社して地元に戻ってきた途端、両親は自分達に都合のいい縁談話ばっかりするようになってたから、こうやってぶち壊してくれる女を密かに探してた、普通の女を」 「……はぁ」 確かに私、普通過ぎるくらい普通ですけど。 「それなら前もって言ってくださいよ」 「タイミングだよ、たまたま電話取った奴がお前だったってだけ」 あー、そういえば、今日、始めは飲み屋の女に電話かけたって言ってたもんね。 それにしても、ペコをだしにして私を誘き出すあたり、……やっぱりこの社長、侮れない。 再び、門口の車に乗った途端、グゥゥゥ!とお腹の虫が鳴った。 朝から何も食べてなかったことを思い出した。 早く帰りたい。もしくは何か食べに行きたい。 ちらりと訴えるような目を門口に向けたら、 「俺も腹空いたな。今日の〆に飯付き合えよ」 イケメン社長もお腹が空くらしく、遅くなったランチを取ることに。 あ。 そだ。 ドレス着っぱなしだった。 これ、まだ汚したくないな。 せっかく買って貰ったのに。 「あの」 「なんだ」 「そろそろ元の猫ちゃんティシャツに着替えても…?」 「それだけは無理、牛丼屋にも入れない」 無理って……。 元彼の克己とは、これ着て出掛けたりしたけどな。 やっぱり、克己は偉大だったのかも。
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