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門口が連れてきてくれた店は、何度も訪れたことのあるイタリアンレストランだった。
元カレとーー
「……どうした? ここ、嫌いか?」
「あ、いえ」
好きだった。
ここのジェノベーゼのパスタ……。
「もう少しガッツリ食べれるところが俺は良かったけど、女は好きだろ、イタリアン」
「……はぁ」
克己は、蟹クリームのパスタが好きで良く半分ずつ分けて食べてたな。
「いらっしゃいませー」
男性店員が私達を案内してくれる。
このドレスのせいか、過去にないくらい周りにジロジロ見られてるような気がするんだけど。
「あの男の人、モデルみたい」
「彼女の服可愛い」
それはきっと、門口が目立つせいだ。
えーえー、私は洋服負けしてますよ。
「外の席も空いてるな。そっち行くか?」
「……そう、ですねぇ」
海が見える外の席は、いくつかカップルが埋め尽くしていた。
そこに恋人でもない門口と行くのは、やはり気が引ける。
「風、強いし、中で……」
ん?
外のカップルに見覚えのある顔が……。
楽しそうに話ながらピザを頬張るそのひとは……。
「か」
克己。
元カレの克己が、女連れでランチしていた。
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