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婚約者に避けられる side 冨田颯人
「藤島、涼子に男の影、本当にないか!?」
偶然にも涼子は秀才藤島と同じ会社に就職した。
「いないと思う。PIPIの専属モデルをしてるからかなりモテてはいるが、高嶺の花過ぎて声をかける男はいないな」
PIPIに載せている公式プロフィールに自動車部品メーカー代表取締役社長令嬢と記されている。
涼子は洗練された磨き上げられたお嬢様なのもあり、近寄りがたいと思う。
「心配ならとっとと結婚すればいいだろ」
ドラえも⚪︎開発の下りは伝えず、結婚を先送りにしたら涼子に独身生活謳歌宣言され距離をとられてしまったと秀才藤島に打ち明けた。
「……まだ早い」
創業者一族の長男の1人息子な俺。
世襲制ではないが御曹司の立ち位置にいる。
祖父は代表取締役会長、父が執行役員(CPO)。
将来的に俺も執行役員以上の地位を目指しているから、そのためには今から仕事で成果を挙げないといけない。
「大企業の創業者一族も大変だな」
世襲制の中堅会社も大変そうだ。
天才結城と秀才藤島の発明品を製造販売した事で会社が大きくなったのに、実兄はカリスマ性のある弟が家業に関わる事を嫌がり幹部役員の中で派閥ができて大騒動が勃発したらしい。
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