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毎年恒例苦痛な新年行事
毎年わざわざ初詣のために振袖を新調する。
理由は社内広報誌や業界誌に写真を載せるため。
「PIPIの水原涼子だ。大和撫子だな」
トミタ自動車本社工場内にある冨栄神社。
社外の人でも正月3ヶ日だけ参拝が許可されている。
颯人のご家族と時間を合わせて初詣をし、料亭でランチをとるのが恒例行事。
「涼子さん、颯人がまだ到着しないんだけど、連絡入ってない?」
いつも私からお伺いのLINEを送っての返信だったから、遅刻の連絡はない。
「入ってないです。シリコンバレーから結城くんが戻ってて、7年ぶりの再会だから朝方まで楽しんでいたんだと思います」
颯斗にLINE送りたくなく、ありがちな理由を伝えた。
「結城くんが帰国してたの!!知らなかったわ。あの子、そういう報告、私にしないから。お祖父様が会いたがってたのに」
天才結城をヒットハンティングしたいトミタ代表取締役会長。
中高生時代、かなりの金額を投資していた。
「遅れてすみません」
颯斗は待ち合わせ時間から15分遅刻で駆けつけた。
スーツと靴は極上品だったけど、顔色がかなり悪かった。
同窓会の後、天才結城と秀才藤島が家に押しかけ、やりたい放題だったのだと思う。
「結城くん、あちらの大学院卒業したら日本に戻ってくるわよね?もちろん、トミタに来てくれるのよね?」
「どうだろう……。GoogloでAIシステムの開発をしながらスタンフォード大学でMBA(経営学修士)とM.Eng.(工学修士)取得するって言ってたから、しばらくはシリコンバレーに居るんじゃないかな」
颯人の御両親も私の両親も、天才結城をかなり評価している。
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