婚約者がいるのに恋をした side 冨田颯人

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「冨田さん、よかったら食べて下さい!!」 仕事中に女性社員から、差し入れを貰う。 仕事中につまめる手作りのサンドイッチやおにぎらず、焼き菓子。 36協定で残業時間に限りがあるから、勤務中は食事をせず最低限の水分補給だけして休む間もなく仕事をしてる。 貰った差し入れは腐らせるから部のメンバーにお裾分けし、一切口にしていない。 トミタの創業者一族の5代目だが、一族全体の持ち株率は2.1%でもはや権力はなく、次期社長になれる確証はない。 なのに、なぜかモテていた。 仕事の邪魔としか思わないが、凹んでる時に声をかけられ笑みを向けられたらドキッとしてしまう。 「太陽光発電の蓄電システムがどこかおかしいのかな……。それとも回路設計に無理がある?」 ハイブリッドエンジンの開発をしている第3パワートレイン部の坂野さんが缶コーヒーを持って現れた。 「ここ変えて、再試験出してみて。これで70%後半までいけたら量産にいけるかも」 天才結城と同じオーラがある坂野さん。 助言通りにすると、大抵改善される。 涼子に距離を置かれてるのもあり、天才な坂野さんに俺は惹かれてる。
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