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婚約破棄はしたくない side 冨田颯人
新型ハイブリッドエンジンの開発は佳境を迎え、天才坂野との関わる時間が増える。
試作車の調整は俺には難しく、天才坂野に助っ人を要請した。
「これでデータとって問題なければ量産開発に回しましょう」
天才坂野は量産開発部所属。
才能はあっても高専卒の1年目、先行開発に所属は難しい。
「坂野さん、ありがとう。助かった」
彼女のおかげで発電可能なエネルギーに対する蓄電量が70%までいった。
天気によって発電量に差があり、曇りの日は90%いく。
新技術を他メーカーにリンクされ先を越される事を懸念し、上層部は早期に販売に漕ぎつけたい意向。
「仕事だから。85%まで持っていきたかったけど、難しいね」
天才結城なら涼しい顔して簡単に90%以上を達成し、ちょい乗りならガソリンが必要ない究極的なエコカーを開発しそうだが、天才坂野さんはそこまでではなかった。
だけど、俺よりかなり優秀で、修正に関しては彼女のおかげでなんとかカタチになった。
3歳年下の同期。
俺が無能だとわかってからは創始者一族という肩書きは無視でかなりキツめの言葉を浴びせられた。
理詰めの論破に、恐怖でしかない。
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