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婚約破棄イベントって何? side 冨田颯人
『颯人さん、涼子との結婚を取りやめるのですか!!』
涼子の母から電話がかかってきた。
父が雇った弁護士が突然家を訪ねてきて、婚約破棄の慰謝料の提示してきたらしい。
「僕は涼子さんと別れる気はありません。父が勝手にした事です」
毎年恒例だった新年の集まりも今後一切行わないと言われ、涼子の母は戸惑っていた。
さすがに父のやり方に腹が立ち、異議申し立てをしに実家へ行く。
「涼子との婚約を破棄するつもりはない」
「創始者一族の立場を危うくする気か!!」
父の中で水谷家と縁を切る事は決定事項で、話にならなかった。
大学院修士課程修了の時に、涼子と結婚の話を進めるべきだったと後悔する。
11月中旬。
出張でトミタに来社した秀才藤島と終業後、近くの個室がある居酒屋にきた。
「冨田、お前、坂野綾子って子といい感じになってるという噂、耳にしたんだが……」
「はっ!?ないない。結城の女版と結婚なんかしたら俺、狂死ぬ」
地元という事てま小中高時代の友人の3分の1はトミタもしくはトミタの関連会社に勤めている。
面倒見がよかった秀才藤島は同級生からかなり慕われていて、相談等のメッセージがよくくるらしい。
「……お前が同窓会で断罪からの婚約破棄をするっていう噂が一部のグループLINEで流れてたが」
「はぁ!?」
人気ファッション雑誌の専属モデルでめざめてTVの情報コーナーのレギュラーも勤める涼子。
電道で受付嬢をしているのもあり、同性から妬まれる。
小中高の12年間を共に過ごした仲間なのに、陰口や陥れるような事を平気でする。
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