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「不確かな情報だが、アイリンの業績が悪化していて3月の株式総会で社長交代と役員も総入れ替えするって話が上がってる。その人材はトミタから派遣するとかで、冨田の両親的にお前と水原の婚約を白紙にしたいと思ってると思う」
父が涼子との婚約を白紙に戻したい理由が腑に落ちた。
アイリン製の部品がここのとこ不良品が多く、それが原因でリコール案件になっていた。
「だとしても、俺は涼子と共に人生を歩みたい」
アイリンの創業者一族で現社長が退任となると、しばらくは結婚は難しいだろう。
トミタ退職を父が許すわけないし、涼子と駆け落ちしても居場所を突き止められて連れ戻されるのが見えている。
「……しばらくは結婚は無理だな。婚約破棄は魔逃れないと思う。隠れて付き合い、アイリンの業績が回復した頃にひっそり婚姻するしかないな」
創始者一族の尊厳はどうでもいい。
だが、曾祖父ちゃんが立ち上げた会社と関係がなくなる事は淋しい。
「てか水原、冨田との婚約破棄、受け入れてたぞ。そもそも水原が冨田と別れたがってる気がする」
俺もそんな気はしていた。
「同窓会でプロポーズする!!」
同窓生の中にトミタの執行社員の御令嬢御子息が5人いる。
公開プロポーズをすれば、父も世間体を気にして婚約破棄を諦めるだろう。
秀才藤島は呆れた表情を浮かべていた。
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