171人が本棚に入れています
本棚に追加
秀才藤島くんはかなりコミュニケーション能力が高くなっていた。
超絶にかっこいいから見た目でクライアントの心を鷲掴みにし、話術も丸め込む。
発想豊かなアイデアを生み出す力ももちろん備わっていて、入社半年でネット広告のクリエイティブ部門トップの成績を取り、社長賞を貰った。
「水原、お疲れ様!!」
「あっ、藤島くん!!お疲れ様」
終業後、オフィスビルの出入り口で帰社した秀才藤島と会い、ひとけがないから立ち話をする。
「社長賞おめでとう!!ラージランクのクライアントのネット広告をこの短期間で15件も請け負って、担当したネット広告5件もかなり評判いいし、藤島くんは相変わらずスゴイよ!!」
真面目で努力家の秀才藤島。
ぶっ飛んだ発明をする天才結城がいたから彼のスゴさに気づいていなかった。
「あ、ありがとう。水谷さんもPIPIの専属モデルしてるって流石だと思う。来客したクライアントと下請け企業の担当者が、人気モデルのリョウに商談室まで案内されたって喜んでたよ」
お互い褒め合う。
大学卒業後、本当は地元に戻ってアイリンの広報PRの仕事に就く予定だった。
それを卒業間際に白紙に戻した。
颯人との結婚を双方の両親は期待していた。
結婚が無期限延期なのもあり合わせる顔がない。
結婚が白紙に戻せたらいいのにと思ってしまう。
「気をつけて帰れよ」
「うん、またね」
秀才藤島と会うと颯人の事を思い浮かべてしまう。
婚約者いる身だけど独身を謳歌するため束の間の恋人を作ると決めたのに、入社して半年、いまだにいない。
最大手広告代理店の受付嬢に口説くために名刺を渡す痛すぎる客はいない。
そして、天才秀才凡人未来の発明家トリオがあまりにもカッコ良すぎるから、目が肥えてしまって他の男性に惹かれない。
最初のコメントを投稿しよう!