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さっきまで、余裕の表情をしていた男性天使の顔が曇っていく。
「言っておくけど、考えると記憶が思いだせなくなるぜ……」
「うん、そうみたいね……でも、ここにはイヤな記憶ばかりがある」と私は言った。
「良い記憶も、良くない記憶も、全て自分のものだ。」と男性天使はそう言う。
しかし、私の考えは違う。
「いいの……忘れても。イヤな記憶って忘れた方がいいよ」と言って、私は少し下を向いた。
「大切にしろよ。イヤな記憶も、自分自身も。」
「う、うん。」と私は頑なに頷いた。
「じゃ、行くぞ。」
そう言い、男性天使は校舎へ向かって歩き出した。
その大きな背中を見て、私は小走りで男性天使のあとを追いかける。
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