あふれる光

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周囲の景色がぼんやりとしたまま、冷たい感覚に包まれる。 私は何が起こったのか、よくわかっていなかった。 冷たいアスファルトに伏せている。 「まだ……」と私はつぶやく。 私は、そっと目を閉じる。 その瞬間、ふと目の前に柔らかな光が現れた。 まるで誰かが私を見守っているかのよう。 「私は大天使。あなたは天使になれます。どうしますか?」 白く長いローブを着た女性がこちらに話しかけてきた。 派手な装飾はなく、簡素な格好をしている。 (ここどこ?) 周囲は、柔らかい光と白いモヤに包まれていた。 「天使になれるかどうかなんて……どうでもいいです。お婆ちゃんに会いたい……」 私は、そう言った。 「あなたの祖母は、天使になる道を選びました。私の元で使命を果たしています。」 (お婆ちゃんが天使に!?) 「……本当に!?本当の本当に!私のお婆ちゃんは、天使になったの?」 私の問いかけに、大天使は答えた。 「彼女は、言いました。死んでも諦めたらダメだと」 祖母は芯が強い人だと思いだす。 「車に轢かれたのは覚えているけど、その後の記憶が全くないの。やっぱり私は亡くなったんだ……」
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