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01 聖女、物申す
偉大なる神子さまの暮らす家は、中央都市内にあるとはいえ、賑わいとは程遠いところに建っていた。
古びた平屋の邸は物々しい鉄柵に囲まれ、侵入者を拒む堅牢な空気が漂っており、辿り着いた門もまたミノンの背よりも高く、こちらを睥睨してくる。不用意に入ってくるな感がすごい。
(そうは言っても、こっちは中央神殿から正式に派遣されているわけでして、すごすごと帰るわけにはいかないのよね)
だってお金がもらえないと困るもの。
続けてそう呟くと、ミノンは小さなかばんをひとつ携えて門をくぐり、玄関扉を叩いた。
「たのもー!」
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