2人が本棚に入れています
本棚に追加
さらなる告白
体育館の中で正気を保っているふたりの聴衆のひとり、斎藤は右手で顔を覆った。
「あちゃー。アイツ、カミングアウトしようとしている」
「斎藤くん、まずいよ。どうしょう」
右手をひさしのように目の上に近づけ、伊集院は体育館を見渡す。そして、遂に誰かを探し出した。
「おっ、いたぞ。おーい、翔平、翔太!」
伊集院は佐藤たちのほうを指差す。生徒たちは一斉にその方向を振り向く。しかし、佐藤は伊集院の投げかけた言葉に疑問が湧いた。
「ん?」
佐藤は伊集院が何を言っているのかすぐに理解できなかった。不思議がっている佐藤の姿を見て、斎藤は諦めた表情で告げる。
「まあ、そういうことだな」
「えっ、どういうこと?」
「佐藤の親父は俺の親父でもあるってことだ」
「えっ、えーっ!」
「俺のお袋も離婚しているんだよね。で、旧姓が斎藤なの」
「嘘ーっ!」
「でも、安心してくれ。アイツと血は繋がっていないから。ある時期にお袋の再婚相手だっただけの男さ」
「そ、そんな…」
「まあ、これからもよろしくな」
この日から佐藤翔平の運命のイタズラとも言うべき歯車は回り始める。同級生にとっては飽きない刺激的な学校生活、そして佐藤にとってはお先真っ白な全身タイツ生活が幕を開けた!
最初のコメントを投稿しよう!