二人のサブ

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 四ヵ所の候補のうち二ヵ所はハズレだった。これで他の二ヵ所に絞られたわけだが、午後もかなりすぎているのにまだ先野からも原田からも「見つかった」という連絡は入らない。もっとも、この依頼自体がかなりの難問で、二人とも難儀しているのだろうとは想像に難くない。であっても、もしこの二ヵ所のうちのどちらかなのだとしたら、いつかは目標にたどりつくだろう。  三条は社用車に戻り、帰社することにした。帰りもまた三時間のドライブである。  探偵の仕事では、こういう無駄足はよくあることだった。いちいち気にしてはやっていられない。  来るときとは反対側の景色を見つつクルマを運転しているときだった。建設中の橋脚が見えた。本線と合流しようとして計画されている工事だろう。橋脚間に道路部分を渡してあるところもあった。どこから繋がって来る道路か知れないが、どう便利になるのか。  便利になるとはいってもどれぐらいの通行量を見越して建設しているのだろうか。たとえ予想が外れる見込みではあっても、なんとか数字を盛って開通させるしかないのが政策というもので、一度計画がスタートしてしまったら、もう後戻りできない事情があるのだろう。 (まだ開通していない道路か……)  三条はぴんときた。  もしや――!
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