二人のサブ

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(これは確かに時間がかかりそうだ……)  いまさらながら原田はそう感じた。  その後、ファミレスやコンビニなど、手当たり次第に聞き込みをしていったが、ことごとく空振りに終わった。他になんらかの手がかりがあれば聞き込み先も絞れるのだが、それがまったくない。  こんな捜索のやり方で見つかるのだろうか。  先野が候補として挙げた地点は四ヵ所である。それがせめてもの救いだ。それらを徹底的に調べていけば、いつかは当たりを引けるだろう。そう前向きに捉えて聞き込みを続けた。  しかしそうはいっても、なかなかにハードな仕事だ。成果が出るとは限らないことを延々と繰り返すのだから根気がいる。  鉄道の高架線路、高速道路、ゴルフ練習場、家電量販店、それに送電塔と煙突がいっぺんに見える地点――。そこを中心に聞き込み続けること数時間……。  夕方になっていた。徒労を重ねたことで、疲労も一段と感じていた。  夕日が眩しい。  社用車で帰路につくことにした。  先野・三条の両探偵から、見つかったという知らせはなく、この仕事は明日もしなければならない。  もしかしたら――と原田は思った。枯橋彩葉がいるのは、もっと遠い場所なのかもしれない。この近辺とは限らない。日本のどこか、とするなら捜索する候補地は他にもあるだろう。そう思いつつ高速道路に乗った。  夕日を背景に湾岸の光景が窓外を流れる。 (ん――?)  見えたのは、煙突から煙を吐いている製鉄所であった。そこへ送電塔からの電線が入っていた。大規模な工場ならば、そこで使用される電力はかなりのものになるだろう。当然ながら、大電力のための送電塔があってもおかしくはない。 (これは――!)  原田は思いついた。候補は火力発電所だけではないぞ。製鉄所も考えられる! (先野さんに伝えないと!)  これはいいことを発見したぞ!  そう思った。
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