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二人のサブ
翌朝、昨日の捜索の続きをする前に事務所に出ると、硯山マネージャが二人の助っ人を指名してくれていた。
入社して間もない新人探偵の原田翔太と、もう一人は――。
「三条さんがおれのサブを?」
「不満なんですかぁ?」
「いや、そうじゃない。三条さんは、メインで案件を抱えていただろう?」
三条愛美は入社四年目の二十七歳であるが、新・土井エージェントのエースと呼ばれるほど優秀な探偵だった。常に複数の案件を抱え、まさに八面六臂の行動力で次々と依頼を解決していた。
「それらの案件が早く片付いたので、先野さんの補助に回ってもらったのよ」
と硯山マネージャが説明した。そのセリフからも、三条が如何に有能であるかがわかった。誰もが認める実力だった。
「なるほど……さすが三条さんだな」
三人がかりとなれば見つけ出せるかもしれないと、前日の手応えのなさを思い返して萎える気持ちが反転する先野である。
「じゃあ、説明するから会議テーブルへ行こうか」
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