第二章./仮面(イツワリ)の摩天楼

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第二章./仮面(イツワリ)の摩天楼

 ────…ヨーロッパの城のような会場が、神の手による彫像のような"男"の空気感と、  もうひとり。  猛烈に美しく且つ、野生美をおもわせる"男"の動向によって、  (たちま)剣呑(けんのん)な趣へと変わっていった。  シンッーーー、と。  静まり返った来訪客は、  雲霞(うんか)のごとく  そぞろに気を引き締めていく様子で。  ────"彼ら"は謂わば、国家賓客である。  贔屓(ひいき)されているご令嬢の誕生祭とは言えども、やはり。  富者たちや大使館、芸能関係にあたる富豪主たちなど。  上流階級に属する来賓客は、  皆一様に、  "彼ら"の機嫌を損なわぬよう、留意するのが鉄則。  それは、  パーティー列席者のなかでの  暗黙のルールであった。  ────…しかしどうやら。  今回の事態は、只ごとでは無いらしい。  ハイグレードなパーティー仕様の正装を身にまとい、すぅっとなだらかな所作で半身を屈め、とある少女の落ちた目線に合わせようと顔を傾げたシルバーブルーの髪の男、  ウォン・アーウェイ。  彼が初めて────…、  大衆に見せたその姿を。  "彼自身"から、会場内の女性に声を掛けるなどこれまでに  一度たりとて無かったのだ。
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