バトルマン・スーパージャンボ、それは

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「まったくですね」と大悟。 「大悟、私たちのこの仕事だって、いつかそのうちロボットがやって、我々なんか必要なくなるだろな」 賢治は、目の前のベルトコンベアに次から次に載せられて運ばれてくる、しっかりと梱包された本を一冊ずつとりあげては、横の箱に入れる。その箱も後ろのコンベアに載って次々に運ばれてくる。 大悟はそれに封をして宛先シールを貼って、別のコンベアに載せる。この荷物が自分のところに送られてきたことはないし、これがどこに送られるのか、その宛先に対する興味もなくなっている。 ただ二人は、いやこの工場で働いているすべての人は、この本がどんな本だかは知らされていないし、ページをめくっても何も書かれていないことなど知る由もなかった。それは、一見無駄な仕事に見えたが、為政者にとってはとても大事なことであったに違いない。 この仕事だって、いや、この工場の前後左右に並んだ50も100もある工場でも、似たような仕事をしている人間がいた。だが、このようなことはロボットや機械が自動でできることであった。そもそも考えてみれば、必要のない仕事であったのかもしれない。 このような仕事ができたのは450年ほど前からで、何もすることがなくなって、生きることをやめてしまう人間にやる気を起こさせるために、無理やりつくられた仕事であった。 だが、そのことはこの社会を取り仕切っている政府の一部、それもある階層しか知らないことであった。 それまでは、人間がする仕事をロボットがすべてこなしてしまうので、人は生きがいを失くしていた。
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