4人が本棚に入れています
本棚に追加
「こうも何でも自動化されると俺たちのやることがないな」
「そうだな」
「ところで、それでは人間って生きてる必要があるのかな」
こんな疑念を解決するためにつくられたのが、現在も続いている、賢治、大悟たちがやっている作業であった。
賢治は、大悟を誘って工場の隅にある休憩室に入る。
本来は、きちんと休憩時間が決められていた。人間に「労働」というもの、働かされているという意識を植え付けるために、きちんと始業・終業時間を決め、なかに休み時間を設けていた。
それによって人の行動の自由を束縛し、無理やり働いている気持ちを起こさせている。
これも一般市民が余計なことを考えて、暴動に走ったり、政府の仕組みに疑念を持った輩が、クーデーターでも起こすことを防ぐ策であった。
これらはすべて一握りの特権を握った階層が、自分たちの保全のためで、しかもそれを優秀な子孫のみに受け継いでいたことであった。
この休憩に入る前のことであったが、この一年間一度もなかったベルトコンベアが故障した。
賢治は立ち上がって、横のインタフォンで管理部に故障の連絡をした。
すると装置や荷物には手を触れないようにとの指示があった。
最初のコメントを投稿しよう!