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『与作は木を切る』
高地に住むある大金持ちの与作爺さん、最近キャバクラにはまっている。
「ねえ、よーさん。サラダ頼んでいい」
「おう、いいとも」
与作は、木を切るじゃない、気がいい。
若くてきれいなキャバ嬢早希の言うことならなんでも聞いてあげる。
「うれしい、よーさん、ありがと」
そう言ってしなだれかかられたら、誰だってすぐに沈没してしまう。口も財布のひももだらしなく開けっぱなしになろうというもの。
この店のサラダは一皿5万円もし、ホステスにキャッシュバックが2万円もあるので、客にドンファンじゃない、どんどん勧める。
「はあーい、あーんして、よーさん」
与作は早希がフォークにのせた野沢菜をほおばる。
何故に野沢菜かはわからないが。
「ねえ、よーさん、あたしお酒飲んでいい」
「おう、酒か。田森じゃないが、飲んでもいいとも。ここは飲み屋だろが」
与作は早希に嫌われるといけないので、何でも聞いてあげる。
「ボーイさん、あれお願いね」
早希は手を挙げて酒を注文する。
すぐにボーイがレミーマルタンを運んでくる。35万円はとられるが与作には屁の河童である。それより早希に気に入られることが大事であった。
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