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「……俺って死んだの?」
「別にぼくはきみのお迎えに来たわけじゃないんだけど……」
「じゃあなんで……あんた天使、だろ?」
「そうだよ! ぼくはヴェル。ぼくが見える人間って珍しいね!」
ヴェルと名乗った天使は、嬉しそうに空中で飛び跳ねていた。
俺はこれが現実か夢かそれとも死後の世界か分からず、とりあえず頬を引っ張ってみた。
うん、痛いな。
死んだ後に痛みが分かるとは思いにくいから、やっぱりこれは現実かもしれない。
「ふふふ、今日のぼくは機嫌がいいから、きみの願い事何でも叶えてあげるよ!」
「……願い事? そういうこと言うのって悪魔の方じゃないの? 天使も願い事を叶える力とかあるものなのか?」
受け入れがたい現実よりも興味の方が勝った。
俺は彼を質問攻めしたが、ヴェルは律儀に答えてくれた。
「まぁ悪魔もそういうことするよね。魂という対価を払って願い事を叶えるんだ。天使は基本的に人間の守護をするけど、直接願いを叶えるってことはしないかもね。でも、人間だっていろんな人がいるように、天使だっていろんな考えを持つ者がいるんだよ」
つまり願いを聞くと言ったこの天使は随分と稀な個体なのでは?
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