0人が本棚に入れています
本棚に追加
「……っ」
迂闊にも願い事を言ってしまったせいで、後戻りできない状況になっている。
「きみはそんなことしないよね?」
迷子の子どものようなうるうるとした目、縋るようなその声。
はたから見ればあざとく見えるだろうその仕草から、こんなにも圧を感じる。
「……し、しない、から」
「だよね! ありがとう! 他にも願い事があったらいつでも言ってね。きみがぼくを見てくれる限り、ぼくはきみの味方だからね」
にぱっと笑顔に戻ったというのに、俺の恐怖心は消えなかった。
うっかり願い事を口にすれば、この天使は悪魔のようなことをするのだろう。俺はこの天使から逃れられないことを悟った。
最初のコメントを投稿しよう!