彩球

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ビー玉を集めている。 色とりどりのビー玉を床に並べて、ひとつひとつと数えて行く。太陽の光が当たって、火がつきそうな光の玉が近くにできる。 昔、瓶のラムネをよく飲む子が友達にいた。いつもいつも瓶をカラカラさせながら、それくれる?と、わたしの瓶を指す。 ある日、その子の家に遊びに行ったら、そのビー玉がたくさん瓶のなかに詰められていた。 「舐めちゃダメだよ」 わたしに注意したのは、その子の弟で、いつもそう注意されているのだという。綺麗な飴だよね。キラキラした目でそう言いながら。 わたしは、色とりどりのビー玉を床にゴロンと並べながら、金魚が泳ぐ姿を想像する。 ここは人工の池で、ビー玉の上を金魚が泳ぐ。一匹二匹…尾を揺らめかせ泳ぐなか、一匹の尾の長い金魚が横切り、優雅に揺れる尾に、ビー玉が霞む。 うっとりをそれを十二分に味わい、わたしは余韻に浸りながらビー玉をあの子のように瓶に詰める。明日また増える予定だ。明日は何色が増えるだろう。そうだ、帰りにはラムネを買おう。カラカラ鳴らしながら、金魚もきっと泳ぐ。
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