翼の折れた天使

1/1
前へ
/16ページ
次へ

翼の折れた天使

 どうやら天使が助けを求めているようだ。  金髪のツインテールがよく似合っている。この世のモノとは思えないほど可愛らしい。  しかも童顔なのにもの凄く巨乳だ。  思ったより年齢がいっているのだろうか。  彼女の胸元を見た瞬間、一気に心臓が高鳴った。 「あ、あのォ、大丈夫ですか?」  緊張で声が掠れた。  すぐさまボクはその美少女を助けようと手を差しのべた。 「大丈夫じゃねえェよ。見てわかんねえェのかよ」  美少女は不満げに頬を膨らませた。  可愛らしい顔をしてかなりガラが悪いようだ。   「はァ?」間近で見ると背中に翼がついていた。  漫画か、アニメに出てくる天使のコスプレでもしているのだろうか。  このときボクはまだ美少女の事を本物の天使ではなくて、ただのコスプレイヤーだと思っていた。 「落っこちたら翼が折れちゃったんだよ」  その美少女はしきりに背中の翼を気にしていた。 「ふぅん、翼が?」  確かに無惨にも片方の左の翼が折れていた。 「ンううゥ」  おそらく彼女は天使の恰好をしたコスプレイヤーなのだろう。  ボクがそっと左の翼を触ってみると、ポキッと根元から翼が取れてしまった。 「あッ!」ヤバい。根元から折れてしまった。 「痛ッてェッ。マジかよ。(ボウ)ヤ。天使の翼を折りやがって」  途端に美少女はボクを睨みつけクレームをつけてきた。 「いえいえ、そのォ、わざと折ったわけじゃありませんよ。ボクがちょっと触ったらポキッて根元から折れちゃって」  慌ててボクは苦しい言い訳をした。  けれども信じてほしい。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加