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アンジェラ
本当にボクが軽く翼を触っただけで折れてしまったのだ。
「あ、あのォ、翼が取れちゃったんですけど。接着剤でくっつけましょうか?」
ボクは折れた翼を持ってオロオロした。
心配になって美少女にきいた。
「ふぅん平気だよ。それよりも坊ヤの家へ行こうか?」
意外と美少女はサバサバして応えた。
「えッ、坊ヤって、ボクの家の事でしょうか?」
どう見てもボクよりも美少女の方が年齢は下だろう。
年下の彼女に『坊ヤ』と呼ばれるのはもどかしい。
「そ、私はアンジェラよ」
「えェ、アンジェラさんですか?」
金髪のツインテールなので、もしかして外国人なのだろうか。それにしては流暢な日本語だ。
「フッフフゥン、呼び捨てで良いわ。アンジェラって」
「ハイ、アンジェラですか。あのォ、ボクは一平って言います」
「ふぅん、イッペー?」
「ハイ、野呂一平です」
これでお互い自己紹介が済んだ。
「じゃァ、とにかくイッペーん家へ行こうか?」
「はァ」
仕方なくボクは折れた翼とケガしているアンジェラを抱きかかえた。
翼を折ってしまったので悪い気がしたからだ。
「フフゥン」アンジェラは楽しそうにボクに抱きついて微笑んだ。
柔らかな胸の膨らみを感じた。
「ううゥ……」
それにしても、なんだ。この軽さは。まるで羽根みたいだ。
アンジェラは見た目以上に軽い。
中学生くらいの美少女なら、どんなに軽くても三、四十キロはあるだろう。
だが抱きかかえてみると、いっさい体重を感じないほどだ。
ボクはアンジェラを抱きかかえたまま全速力で駆け出した。
年端もいかない美少女を抱きかかえたトコを知り合いに見られたら、何を咎められるかわかったものじゃない。
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