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アンジェラ
公園のすぐ近くにボクの家があった。
このまま走っていけば、ものの三分も掛からないだろう。
だがその時、ハッと気がついた。
夏休みとはいえ、真夜中に見ず知らずのアンジェラを家へ連れ込むのは拉致監禁になるのではないか。
もちろん真面目なボクはこれまで警察の厄介になったことはない。
当然だが、公園に美少女が落ちていたと言っても警察は信じてくれないだろう。
「あのォ、やっぱり交番へ行った方が良いんじゃないかなァ?」
しかしボクは不安になって彼女に相談をした。
「なんだよ。ビビってんのか。イッペーを襲ったりしねえェよ」
アンジェラはボクに抱きかかえられたまま不敵に微笑んだ。
まるで小悪魔みたいになにかを企んでいるようだ。
「いやいやァ、やっぱりアンジェラ。親御さんに迎えに来て貰ったら?」
その方が安心だろう。
このままでは誘拐になってしまう。
「バァカ、親御さんって神様かよ。わざわざ来るかよ。迎えになんて!」
「はァ、神様って?」
なにを大げさな事を言ってるのだろう。
これ以上、押し問答を繰り返しても埒が明かない。
仕方なくボクはアンジェラを家へ招いた。
「ふぅん、ここがイッペーの家か?」
アンジェラはリビングへ入ると興味深そうにキョロキョロと家の中を見回した。
「ああァ、そうだけど。今夜は遅いからしょうがないだろうなァ」
ボクも眉をひそめ嘆いた。
こんな夜遅く無下に美少女を家から放り出すわけにもいかないだろう。
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