ペッコリーナ姫

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ペッコリーナ姫

 その時、不意にリビングに『グゥーーッ』と言う音が響いてきた。 「あッ!」アンジェラが驚いたようにお腹を押さえた。どうやら腹の虫が鳴ったようだ。 「ンううゥ、そんなにお腹が減ってるの?」  スゴい音だ。 「ふぅん、悪魔の雄叫びよ」  アンジェラは大げさに言った。 「いやいや、ただ腹の虫が鳴っただけでしょ」  なにが悪魔の雄叫びだよ。 「わァァァン、空腹の国のペッコリーナ姫がお(なか)()いたって大騒ぎよ。なんとかしてよォ!」  まるで小さな子供のようにダダをこね出した。 「はァ、なんとかしろと言われても、どこの意地(いじ)(きたな)いお姫様ですか。ペッコリーナ姫って?」  ボクは眉をひそめて訊いた。 「なんか作ってよ。作ってェ。じゃないと、ペッコリーナ姫が大暴動を起こすわよ」  寝転んだまま足をバタバタさせた。 「いやいや、ダダッ子かァ!」  文句を言ったが仕方ない。  ボクはキッチンへ向かい夜食の用意をはじめた。  ちょうど冷蔵庫には豆腐と卵があったので炒めてにした。 「ねえェ、なにが出来るの。イッペー?」  アンジェラも飛んできてボクの背中に乗ってきた。  可愛らしく空中で足をバタバタさせた。 「ああァ、簡単な夜食だよ。このあとフライパンで炒めるだけさァ」  ボクは手短にアンジェラへ説明した。  夜食なので軽く済ませるつもりだ。
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