死神の末路

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一生(いっせい)くん。今日は恥ずかしいけど出ちゃってるの」 俺は介護ベッドで恥ずかしそうに布団に半分顔を隠す田中さんにニコリと微笑んだ。  「そうですか。では早くキレイにしてスッキリしましょうね」  「お願いします」  そう言うと、田中さんは目を閉じた。  俺は田中さんの掛け布団を静かに、折り畳みながら足元に置く。  高齢者用テープ付きオムツと尿取りパットをベッドのサイドレールに広げてかける。  ベッドの高さを作業しやすい位置にするべく、リモコンのスイッチを押す。  緩やかにベッド全体が上がってきた。 チッ……チッ……チッ…… うるさい。 俺はこの音が嫌いだ。 目を細めて田中さんの頭上を見る。 そこには、普通の人間には見えない数字列がデジタル時計のように浮かんでいる。 これは田中さんの残り時間だ。 「あら、顔に何かついてる?」 「いえ、ベッドの高さを確認していただけですよ。ではパジャマのズボンを下げていきますね」 「はい」 田中さんは再び目を閉じた。 俺は、人間ではない。
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