再生されたモノ

2/9
前へ
/9ページ
次へ
 何か面白いものでもないかと、美夢は父親の部屋に入った。父は娘たちに興味のない母とは違って、自宅にいるときは一緒の時間を大切にしてくれる。  だから姉の美音(みおん)共々、姉妹揃って父親のことが大好きなのだ。とはいえプライバシーの侵害ではある。  階下にいるお手伝いさんにもバレないように、こっそりと父の部屋のドアを開け、身体を滑り込ませた。  実は今日、暇つぶしに父の部屋を物色しようと思ったのは、昨日の姉との会話で、少し気になってしまったことがあったからだ。 「ねぇ美夢、パパって幸せなのかな?」 「えっ?」  姉にそんな質問をされるまで、美夢は当然父は幸せに決まっていると決めつけていた。 「何で?」 「んーーーだって、毎日ママは何もしないで遊んでばっかなのに、パパは夜遅くまで仕事してるし、休みの日だってお付き合いだって、外出してるでしょ?」 「うん」 「友達のお父さんも、パパと同じような境遇なんだけど、休みの日に接待とかお付き合いで出かけていたのって、実は浮気をしてて、その女の人と会ってたからなんだって」 「えっ!」  美夢は驚き過ぎて、声が裏返る。 「まぁ、パパはそんなことはしてないと思うけど、もし仮にしてたとしても、私は責められないかなぁと思うけどね」  姉の口から出た言葉は、美夢にとって、余りにも衝撃的だった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加