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何か面白いものでもないかと、美夢は父親の部屋に入った。父は娘たちに興味のない母とは違って、自宅にいるときは一緒の時間を大切にしてくれる。
だから姉の美音共々、姉妹揃って父親のことが大好きなのだ。とはいえプライバシーの侵害ではある。
階下にいるお手伝いさんにもバレないように、こっそりと父の部屋のドアを開け、身体を滑り込ませた。
実は今日、暇つぶしに父の部屋を物色しようと思ったのは、昨日の姉との会話で、少し気になってしまったことがあったからだ。
「ねぇ美夢、パパって幸せなのかな?」
「えっ?」
姉にそんな質問をされるまで、美夢は当然父は幸せに決まっていると決めつけていた。
「何で?」
「んーーーだって、毎日ママは何もしないで遊んでばっかなのに、パパは夜遅くまで仕事してるし、休みの日だってお付き合いだって、外出してるでしょ?」
「うん」
「友達のお父さんも、パパと同じような境遇なんだけど、休みの日に接待とかお付き合いで出かけていたのって、実は浮気をしてて、その女の人と会ってたからなんだって」
「えっ!」
美夢は驚き過ぎて、声が裏返る。
「まぁ、パパはそんなことはしてないと思うけど、もし仮にしてたとしても、私は責められないかなぁと思うけどね」
姉の口から出た言葉は、美夢にとって、余りにも衝撃的だった。
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