再生されたモノ

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再生されたモノ

 小学五年生の美夢(みむ)は、せっかくの夏休みだというのに、ただただ暇を持て余していた。  地元では有名な会社の社長令嬢として生まれ育った母親は、ただただ自由奔放過ぎる人で、子育てはお手伝いさんに任せて、今日も学生時代の、これまたお嬢様育ちのご学友と共に、ランチに出かけて行ってしまった。  父親の祐介は、婿入りはしていないものの、元々母の会社の社員だったこともあって、雇われ社長のような立場だったりするものだから、会長である義父には逆らえず、子供の夏休みの為に長期休暇を取ってくれることもないまま、現在を迎えている。  美夢の通う学校は、これまた有名なエスカレーター式のお嬢様学校で、クラスメイトの大半が遠方から運転手の送迎で通っていたりするから、気軽に遊ぼうと言って、会えたりする距離に住んでいなかったりするのだ。  去年までは二歳上の姉が一緒に遊んでくれていたけど、中学生になって部活動を始めてからは、毎日午前中は部活動の為に登校する。午後になれば帰って来るけど、それまではただひたすら暇を持て余しているのだ。 「あーーー暇」  宿題など到底する気になれず、かといって何もすることがない。テレビも面白い番組なんかやっていないし、ネットの動画も一度は観たことのあるものばかりになってしまった。  
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