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「…少しくらいヒント欲しいです」 「楽しみに待ってて?」 内緒、と唇に人差し指を当てた柊様は教えてくれる気は皆無のようだ。 一体何なのか。知りたいような知りたくないような。 無意識に鳴った喉を誤魔化す為にへらっと笑って見せれば、笑みを深めた柊様が私の額に目を向けて、私がしたのと同じように指を伸ばし「モモ、汗かいてる」と張り付いた前髪を中指で横に流した。 「っ、汚いですよ。やめて下さい」 指先まで美しいのに私の汗なんか触らせたら汚れてしまいそうで、思わず避けるように顔を背ければ、「逃げないでよ」と柊様が眉を寄せる。 「随分外で待たせてしまったね」 ごめんねモモ、と今度は拭いきれなかった生え際の汗を指で拭われて、ひやり、冷たい指先に体が跳ねた。 「お辞め下さい!本当に!汚いのでっ」 ヒィィ、と心うちで盛大な悲鳴を上げ必死に頭を逸らしても、狭い車内ですぐ窓にぶつかり行き止まる。柊様のせいで折角止まった汗がまた吹き出しそう。 「汚くないよ。僕はモモの汗なら触れるし、なんなら舐めれるよ?」と柊様が小さく舌を出して、逃げ場のなくなった私ににじり寄ってくる。 「ほら、」 ちろりと赤い舌が舐める真似をして、そのまま顔が近づいた。
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