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未来のために(9)
ユーディット「……優しいのね、レナータ……あなたって……。ジークくんにも、彼にも優しくしてあげてね、破壊の天使ちゃん」
レナータ「う、うわあぁぁぁぁぁ……あ、ああ、うぅ……ああぁーー……ユーディットのぉ……バカっ、バ、カぁぁっ……バカぁ……」
ユーディット「……ジークくんが……あなたを好きな理由がわかった。今……判明したわ」
レナータ「……うぅぅぅ……あぁぁ……ユーディット、ユユ、ユーディット……やめてぇっ……一人ぃ、で抱え込んでっ、消えないでぇ……ちょうだい……あたし、ら、がいるぅっ、でっしょっ……あたしらをっ、頼ってえぇぇ……ぅうううぅ〜〜あぁぁぁぁ〜〜……っ……ひぐっ、ひうっ……」
ユーディット「……おやおや……これはまいった……。ひとつ、やることが増えたわ」
レナータ「……ユーディットおおぉぉぉっ、イヤよぉぉぉ……消え、ないでえぇぇ……っ……うぅぅ、ううぅぅぅ……」
ユーディット「……悲しませてごめんなさいね、レナータ……」
レナータ「……あやまりぃすぎ、だってっばぁ……ぅ、ひぅ……あ、あったしぃの方も……そりゃ、未熟な、人間らしいトコあるわよおぉぉ……ご、ご……ごめん、ね、ごめんんんんっ……」
ユーディット「……素直で鋭い指摘が出来るのねぇ」
レナータ「……ユーディットおぉぉ……いかないでぇっ……あ、たしからぁ、離れぇない、でぇっ……去って、いかなぁいでぇぇ……いなくならないでっ……うぅぅ、あぁぁあ〜〜っ」
ユーディット「……レナータの涙って、素的。……ジークくんも……わたしの前で泣いてくれたことがある。……ユーはぼくよりも、ずっと孤独だったんだね……と言ってくれて。……天使の流す、涙の意味を知りたかった……。死を告げる天使であるわたしは……涙を……流せないから……」
レナータ「ひぅ、うう、う、っ……あぁぁぁ〜〜っ……」
「……フフ……ねぇ……レナータ」
レナータはユーディットに両手をそえられ、クイッとあごを上げられた。
「……ふぇっ??」
ユーディット「……あなたには、地上の人間と未来へと進んでほしいの。ジークくんと一緒に」
レナータ「みらい?? なっなんのこと、よぉ……えっ……ジークっとぉ……?」
「……フフフフフフフフ……いきなさい、レナータ……わたしではできなかった。この眼では、涙も流せない。そんなつくりなの。存在の数だけ、異なる経験が必要でしょう。……ジークくんと一緒に進みなさい。わたしには、未来をつくれない。そして、わたしが消えても、あなたは大丈夫よ。……親しくしていたのは事実だけれども、あなたが困るようなことは何もない。だから……その点は気にせず、彼を愛してあげて……」
静かに微笑むユーディットはレナータの涙を指で拭い取ってあげた。
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