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未来のために(2)
どこかから響く声「それはじきにかなうわ」
レナータ「ふぇぇ!? しょ、しょーなの??」
どこかから響く声「ええ、叶う。複数の眼……時空眼で、タイムラインを見通せる天使の言葉よ」
「あら……それは、ご丁寧にありがとう……って、う、うわああぁぁぁあッ!!!」
通路の角を曲がったレナータは、立っていた相手にぶつかりそうになって大声をあげた。
レナータ「おおおおおおおお、お、お、おっどろいたあぁぁ!!! ……あ、あ、あんたぁぁぁっ……はっ、はっ、はっ、はぁ……ジークと仲良く……帰ったんじゃ……なかったのっ!!?」
ユーディット「……本日のところは大切な用事があるの……と、ジークくんには先に帰ってもらったわ」
レナータ「ふ、ふ、ふーーん。あっそ……そーなの。……それは……ま、それでいいわ……。それじゃーね……」
ユーディット「待ちなさい」
レナータ「な、なによ?」
ユーディット「レナちゃんに伝えたいことがあって、わざわざ待っていたの」
レナータ「伝えたいこと……? ……なんだかわからないけど、んーじゃあ……ここで言いなさいよ。あたしもこれから帰るところなんだからさ」
ユーディット「……ここでは不適当だわ。場所を変えたい。わたしへついてきなさい」
レナータ「!?? は、ハァ!!?? ……イ、イヤよ! どーして、あんたに命令されないといけないワケ!! ほんと、毎度毎度、一言一言が、腹立たしいわね!! あんたってやつは!」
ユーディット「……フフフフフフフフ……。これはしたり、ね……」
レナータ「な、なにがおかしい!!! あーー腹たつわ、あんたの笑顔ってぇっ!!」
ユーディット「……このわたしがじきじきに話してやっているのだから……黙って言う通りになさいよ、単細胞。……ついてくるとわかるわ……フフフフ……一人ではなにもできない、破壊の天使ちゃーーん……」
レナータ「なによぉ!! そんなこと言うんなら、あんただって、本来は死を告げる天使じゃないのぉっ!? !……は、ははーん……わかった……わかったわよ……あんた、ケンカ売ってるのね!! そのためにあたしを待ち伏せしてた、と……。ご苦労なこったわね……ふ、ふふふふふふ、戦闘が何よりも得意なあたしに対して、なかなか……いい度胸じゃない! ……あたしと戦うってんなら、その綺麗な顔がグチャグチャになっちゃっても知らないわよ!!」
ユーディット「フフフフフフ……できるものなら、やってみてはいかが? 殴りかかってきなさいな。傷一つどころか、指一本も触れられないわ。レナちゃんがいくら圧倒的な戦闘能力の持ち主とはいえ、わたしと戦ったのならば……確実にわたしが勝つ。根本的に実力が違う。……そろそろ……結着をつけたいって……思ってたの……。あなたもそうじゃないかしら? ……こんな通路ではなくて、決戦の間でやろうじゃない? あれれぇ〜……いざとなると、怖いのかなぁ?? ……怖いのなら……逃げ帰ってもよくってよ」
レナータ「に、逃げ帰る!!? バカ言ってんじゃないわ!!今日こそ、あんたとはケリをつけてやるわぁ!! 以前からの因縁に終止符を打つ!! 望むところよぉ!!!!」
ユーディット「……その意気はよし……しかし、ヒヨッコの新入りちゃんでは……」
レナータ「ヒヨッコですってぇっ!? あたしは生き残った唯一の破壊天使、レナータ・ディンケルよっ!!!」
ユーディット「新入りちゃんが、さかしいわねぇ」
レナータ「とっとと、案内なさい!! この性悪天使、ユーディット・シュタイン!! あんたの言う、決戦の間ってヤツにね!!!」
ユーディット「性悪ではないわ……見ての通りの光輝く美女よ、この粗暴な小娘。……こちらへ……来たれ、永久に愚かなるものよ」
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