挑発

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挑発

 封筒の中の手紙を開く。  汚い字で読みづらい文字に目を通す。  これは……。  犯人からなのか!  内容はこうだ。  貴方達に心より愛を込めて  君達の活躍には敬服する。  働き過ぎてあの世へ旅立ってしまわないよう祈っているよ。  私の使命を君達はしっかりと世の中に伝えている。  実に素晴らしいことだ。  警察なんかより遥かに良い仕事をしている。  だが、君達がいくら頑張っても、私に辿り着く事は出来ない。  当然、警察もだ!  何故なら、私は神の使者と変わりはないからだ。  私が行っている事は、神から許されている行為であるからだ。  警察も君達も、私の行為を止めると言う事は愚行でしかない。  最も、私の行為を止める事は、不可能である事を伝えておこう。  私を止める事が出来るのは神以外、存在し得ないからだ。  私は神から、『腐りきった世の中を正せ』と指示を受けている。  私が神の使者であることが、君達にもお判りになった事であろう。  私は神のご加護の元、腐りきった世の中の諸悪を、一つ一つ丁寧に叩き潰しているのだ。  世の中を悪しき方向へと導くものは容赦しない。  これは私の使命だ。  君達は私の行為を素直に世の中に伝えているだけで良い。  決して、私に近づこうなんて愚かな事を考えてはいけない。  良い仕事をしている君達に天罰が下っては、申し訳ないからな。    サリエルの使者より    ふざけた内容だ。三人の女性が立て続けに惨殺されたと言うのに、こんな悪戯をしてくるとは。  と最初は怒りを露わにしたが、もし犯人からの物だったら。  俺は透かさず上司に報告をした。  犯人からの物かどうかは断定できないが、警察に届け出る事にした。  警察にこの件を記事にして良いか尋ねた所、構わないとの指示だった。  これが単なる悪戯と言う事になってしまえば、いい笑い者になってしまうが、犯人からの挑発なら、また大反響となる。  ここは思いっきり掲載をして様子を見ると言う事になった。  
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