15人が本棚に入れています
本棚に追加
挑発
封筒の中の手紙を開く。
汚い字で読みづらい文字に目を通す。
これは……。
犯人からなのか!
内容はこうだ。
貴方達に心より愛を込めて
君達の活躍には敬服する。
働き過ぎてあの世へ旅立ってしまわないよう祈っているよ。
私の使命を君達はしっかりと世の中に伝えている。
実に素晴らしいことだ。
警察なんかより遥かに良い仕事をしている。
だが、君達がいくら頑張っても、私に辿り着く事は出来ない。
当然、警察もだ!
何故なら、私は神の使者と変わりはないからだ。
私が行っている事は、神から許されている行為であるからだ。
警察も君達も、私の行為を止めると言う事は愚行でしかない。
最も、私の行為を止める事は、不可能である事を伝えておこう。
私を止める事が出来るのは神以外、存在し得ないからだ。
私は神から、『腐りきった世の中を正せ』と指示を受けている。
私が神の使者であることが、君達にもお判りになった事であろう。
私は神のご加護の元、腐りきった世の中の諸悪を、一つ一つ丁寧に叩き潰しているのだ。
世の中を悪しき方向へと導くものは容赦しない。
これは私の使命だ。
君達は私の行為を素直に世の中に伝えているだけで良い。
決して、私に近づこうなんて愚かな事を考えてはいけない。
良い仕事をしている君達に天罰が下っては、申し訳ないからな。
サリエルの使者より
ふざけた内容だ。三人の女性が立て続けに惨殺されたと言うのに、こんな悪戯をしてくるとは。
と最初は怒りを露わにしたが、もし犯人からの物だったら。
俺は透かさず上司に報告をした。
犯人からの物かどうかは断定できないが、警察に届け出る事にした。
警察にこの件を記事にして良いか尋ねた所、構わないとの指示だった。
これが単なる悪戯と言う事になってしまえば、いい笑い者になってしまうが、犯人からの挑発なら、また大反響となる。
ここは思いっきり掲載をして様子を見ると言う事になった。
最初のコメントを投稿しよう!