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犯人からの挑戦状と言うタイトルは一気に大反響を呼んだ。
今回の連続殺人事件について『サリエルの使者殺人事件』と名付けられてしまったほどだ。
ここまで世の中に流布しているのに、犯人の手掛かりが全く掴めていない事件。
しかも、俺を捕まえて見ろ!と言わんばかりの手紙を送られてきてしまう始末。
それでも、我々は調査を続けるのだ。
これ以上、犠牲者を出さないためにも。
我々は今日も、凍える夜の中、売春宿の幾つかを見張るのだ。
今度こそ犯人の手掛かりとなるものを掴んで見せる。
そんな我々の意気込みをあざ笑うかのように事件は起きてしまった。
我々が見張っていない建物で起きてしまったのだ。
他の新聞社にもっていかれたか。
恐らく他の新聞社も我々と同じように建物を見張っていたはずだ。
だが、今回はこれで終わらなかったのだ。
他で事件が起きていたことなんて知らない俺は、その建物から少し離れた建物を見張っていたのだ。
今回、俺は建物の裏口を見張っていた。
入口は仲間に任せていたのだ。
黒いコートを着た男が二人入ったことは教えて貰った。
裏口のドアが軋む音が響く。
黒いコートの男が出てきた。
若い感じの男だ。
俺はしっかりと写真に撮る。
男は特に急ぐことなく、ゆっくりとこの場を歩き去っていく。
何枚か撮ったが、正面からは撮れなかった。
この男が犯人である確証はない。
男の写真を撮った後、建物に入り、黒いコートを着た若い男が相手にしていた娼婦の部屋を、管理人に教えて貰うことにしたが、黒いコートを着た若い男は二人いた、それだけでは教える事は出来ないの、一点張りだった。
管理人と交渉をしている間に、二階から女性の悲鳴が響く。
入口にいた仲間には外にいて、黒いコートの男を写真に撮るよう指示をして、一気に二階に駆け上がる。
立ち竦む二人の女性の間に入り込み、部屋の中へと入る。
目の前に女性の惨殺された姿が目の前に飛び込んできた。
やられた……。
そんな言葉しか思い浮かばなかったが、俺は現場を抑える事しか出来なかった。
写真を数枚撮り、現場を後にする。
外で待機していた仲間に尋ねたところ、黒いコートを着た男を撮る事が出来たとのことだった。
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