事件

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 建物の外に出て、冷たい汚れた空気を吸い込みながら考えてみる。  あの女性は殺されて間もない。傷口から流れている血を見れば分かる。黒く固まっていなかった。  恐らく、最初に喉を切り、殺害してから腹を切り裂いた。  臓器が散乱していたのは、両手で腹の中を掻き分けたからだろう。  下腹部に小さい空洞が出来ていた。  何故だ?  臓器の一部を切り取って持ち出したのか。  背筋に寒気を感じた。  そんな恐ろしい事をする奴が、まだ近くにいるかもしれないからだ。  もしかしたら、犯人とすれ違っていたかもしれない。  一気に調査を進めてみるか。  そう思った矢先、警察の連中が到着し、例の建物の中へと入っていく。  周辺の写真を何枚か撮り、一旦、会社に戻る事にする。  警察が来るのが思ったよりも速かった。  周辺を嗅ぎまわっていると、怪しまれて連行されてしまう。  警察の厄介にはなりたくない。  会社に戻って、写真を現像してもらうことを優先することにした。  写真の現像には時間がかかる。  だが、どの新聞会社よりも記事を速く出す事はできるはずだ。  会社に戻り、早速写真の現像を依頼する。会社の上司に報告を行う。  警察から報道機関への発表は三日後になるだろうとのこと。その前に事件の事を調べ上げるよう指示がでた。 「警察の発表前に犯人までたどり着け!」  上司が大きな声をあげる。  警察の発表を待たずに調査に取り掛かれる上に、資料の提供も待たずに済む。警察から提供される資料よりも、我々が持っている資料の方が、読者にとってはかなり刺激的だろう。抑制された内容ではないのだから。  明日から忙しくなる。
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