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真実
ブルボッサ……。
お前、何時から小説家になった。
タイトルは王室の陰謀か。
現実的にあり得ないだろう。
王室には専用のコールガールがいるだろう。俺達、庶民ではとても手が出ない高級コールガールが。彼女達は決して口外はしない。
いや、王室から出られない。それに、王室から出ようとも考えないだろう。そこで贅沢な一生が約束されるのだから。
王室がわざわざ町まで繰り出して、危険な貧民街の娼婦を抱きに来ることもないし、街に探しに来ること事態があり得ない。
犯人は医者……。
考えられないでもないが、王室が雇っている医者に殺人なんて依頼するのか?
プロの殺し屋を使った方が確実だろう。
医術は殺人術なんて話を聞いたことはあるが、医者がいくら王室から頼まれたからと言って、殺人まで犯すだろうか。
一生を約束されたとしても、王室に雇われるような医者が、殺しを行うとは考えられないだろう。
しくじったら話にならない。
プロの殺し屋を雇った方が確実だ。
そのくらいの経費は王室ならあるだろう。
ブルボッサの筋書きは穴だらけだ。何の確証もない。
鵜呑みにしては危険すぎる内容だ。
納得がいくとしたら、王室関係なので警察が手を出せないと言ったところくらいだ。
王室がやるなら、痕跡すら残さないだろう。
死体なんて存在しないんじゃないのか。警察でも行方不明で終わってしまうような感じになると思うが。
それに、新聞会社を挑発するような手紙なんて送ってくることもない。
自己顕示欲が旺盛で、かなり派手にやっている。王室がやったにしてはお粗末すぎる内容だろう。
そう言ってしまってはいるが、犯人に辿り着けない我々がここにいるのだ。
これこそ話にならないってやつかもしれない。
ブルボッサの話を潰したところで、我々に打開策があるのだろうか。
ない。
奴は何故、こんな話を俺にした。
こんなインチキを記事にすることが無いことくらい、分かっていただろう。
何故だ……。
職場でブルボッサの話を何度も頭の中で巡らせてみる。
まてよ。
警察が手を出しづらい場所が王室の他にもあったな。
教会だ。
やはり怪しむべきは裏口から出て行ったあの男か。
惨殺された娼婦達の写真を良く見てみる。
もし犯人が医者なら、もっと正確に腹を切り裂き、性器を正確に切り取っていくのではないか。周辺に臓器を散乱させたりもしないだろう。
要は事の進め方が雑なのだ。
このやり方なら、医療関係者じゃなくても、ある程度人体の構造が分かれば、可能ではないのか。
どうすれば、人体の事を知ることが出来る?
行ってみるか。
俺は図書館へと向かうことにした。
そこなら、医療関係の本が手に入るだろう。
人体の解剖図を良く見て、頭の中に入れてしまえば可能だ。
そんな事を頭の中に巡らせて図書館へと急いだ。
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