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今度は他の娼婦にシャーロットの事を尋ねる事にする。娼婦と言うと夜のイメージが強いが、昼間でも堂々とやっている。建物の壁を背凭れにして立っている娘がいた。俺を見るなり、厭らしさが滲み出るような微笑みを浮かべる。
間違いないだろう。
俺はその娘に近づいていく。
「おじさん。安くしてあげる」
女は笑みを浮かべて俺に話しかけてきた。犬も歩けば棒に当たる。まさにそんな感じだ。
俺は記者証を見せる。
女から一気に笑みが消えた。
「シャーロットの事について聞きたいことがあってね」
「昨日の事件の事でしょう。彼女の事については、特に詳しくは知らないわよ。同じ売春宿で働いてはいたけどね」
「そう。彼女と親しい人とかしらないかな」
「特にいなかったと思うは。ここで娼婦をやっている娘達と友達になるなんてあまりないと思うけど」
「昨日、彼女が殺害された部屋の隣の部屋を使っていた娘は誰だか分かるかい」
「確かハーネットって娘かな」
「俺が聞いているのは両隣りという意味でなんだけどね」
「シャーロットが使っていたのは壁際の部屋よ。隣の部屋と言ったら向かって左側にしか部屋は無いは。そこをあの時使っていたのはハーネットよ」
嘘をついてはいないようだ。敢えて仕掛けてみた。
「ハーネットってどんな娘かな」
「どんな娘と言われても。詳しくはしらないは。彼女に直接聞いてみるしかないんじゃない。夜になればあのガス灯の下に立っているはよ」
彼女が指さす方へと視線を送ってみる。
二本の街路樹に挟まれた、寂しい感じのガス灯が見えた。
ここは夜になり、彼女が現れるのを待つしかない。
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