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会社内はやたらと盛り上がっていた。警察発表と同時に、警察の発表内容よりも詳しい記事が載ったし、あの殺人現場の写真はかなりの効果があったみたいだ。
「ローウイック。これから打ち合わせだ」
編集長が声を上げた。俺は頷き、会議室へと行く。
既に今回の事件を調査するためにチームが組まれていた。
早速、打ち合わせが始められる。
犯人は医療関係者じゃないのかとの話がでた。急所を狙って仕留めて、腹を切り裂き、臓器の一部を切り取る行為等から、人体に詳しい者による犯行ではないかとのことだ。
人によっては、医師ではないかとの意見もあった。
刃物を扱うと言う点では医師以外でもあり得る。医師と決定づけるのは時期総省と言う事になり、その辺については詳しく調査をしていくとの事になった。
写真から切り取られた臓器は子宮の一部等性器周辺の臓器と判明している。医師に判断をしてもらったので間違いはないだろう。
「性器周辺の臓器を切り取る意味は」
その質問には誰も答えられなかった。
まさに犯人のみぞ知ると言うやつだ。
だが、その意味が分かれば、犯人像に到達できるが、この点については今後の検討と言う事になった。
今後の動きであるが、娼婦達が仕事場としている建物を見張ることにした。
怨恨の線が確実でない限り、犯人はまた同じ事件を起こす可能性があるだろうとのことだ。
事前に防ぐことが出来れば問題はないが、犯人を知らない。
とにかく幾つかの建物を見張り、事件が起きてしまったら現場周辺と現場の写真をしっかりと撮ること。迅速に動くこと。直ぐに会社に連絡を入れること。警察の動きに気を付けて調査を進めることなど、幾つかの取り決めをして、今回の打ち合わせは終了した。
娼婦達が仕事場としている建物を全て見張るのは無理だ。会社の人間を総動員しても無理だろう。
事件が起きた建物を除き、周辺の建物を幾つか選んで見張る事にした。
しかし、事件は俺達の見張りを簡単にすり抜けて、起こってしまった。
別の者が見張っていた宿で起こったのだ。待機していたと言う事もあり、写真の方はしっかりと取れたが、情報は俺が前の事件で得たものと殆ど変わらないようなものだった。
ただ、今回は前回よりも被害者女性に対して残忍なことが行われていた。
首を切り裂き、腹を切り開いて臓器の一部を切り取って持ち出すだけでなく、顔をズタズタに切り刻んでいたのだ。
何故、顔まで。
被害者の素性が分からないようにするためなのか。
いや違う。
娼婦仲間から被害者の素性は直ぐに分かってしまう。
とにかく、一旦、会社に戻る事にした。
もしかしたら、犯人に繋がる有力な情報があるかもしれないから。
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