その心、貰いましょう

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「二つの場所で同時に言の刃が現れるなんて珍しいわね」 「そうですね」  アインスもまた、ツヴァイのように此処ではない他の世界に現れた言の刃を倒しに行っていたのだ。結局此方の言の刃も彼女が倒してしまったけど。お淑やかそうな見た目とは裏腹に、彼女は弟よりも手が早く、さっさと奴らを消してしまうのだ。 「早く集めて帰りましょう」  アインスが気絶した男に手を翳すと、アッシュグレーの飴が男から出てくる。人の心は飴玉となって現れるのだ。ツヴァイは懐にある瓶を取り出して彼女に差し出す。彼女は瓶の中に飴玉を仕舞ってから彼に返した。  そして、瞼を閉じ、再び目を開ければ見慣れた庭園が映し出される。ベンチに座ると寄り添うようにアインスが隣に腰掛けた。 「ねえ、ツヴァイ。いつものように歌って」  リュートを抱えて弦に指を添える。 「さあ、集めましょう」  ツヴァイが紡ぎ出す歌を子守唄に彼女は眠りに落ちた。それを見た彼は奏でる指を止める。  アインスはもうお疲れだから、今宵の心集めは終わり。
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