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賑やかな宴会場、笑い声とグラスのぶつかる音が響く。ぼんやりした明かりの下、テーブルを囲むのは酔いどれの堕天使たちだ。彼らは黒い羽を広げ、思い思いに飲み物を傾けている。 「いやぁ、聞いてくれよ。この間、地上に降りて、人間の連中にちょっとした奇跡を見せてやったんだがな、そしたら『あいつは邪悪だ』って言って、聖水を掛けてきたんだぜ!」 と、一人の堕天使が大声で笑いながら話し始めた。 「それは流石にやり過ぎだな。俺の場合は、ただ、あいつらがうまくやれるようにアドバイスしただけなんだがな。それでも『堕天使』だとさ。」 隣の堕天使がグラスを傾けて、つまらなさそうに呟いた。 「俺なんか、ただ清廉潔白であり続けようとしただけで、この有様さ。『完璧すぎて堅苦しい』なんて言われたこともあるぞ。」 もう一人が、皮肉っぽく笑いながらそう言うと、周囲は一斉にどっと笑い声をあげた。
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