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彼ははっとしたように手で口を押える。やばい、と思っているのが伝わって私は焦った。
「えっと、なにかの罰ゲーム?」
そういうことにすれば、彼の言葉をなかったことにできるかと思ったのに。
「俺ってそんなあほなやつに思われてるわけ?」
むっとして聞き返され、私はさらに焦った。
「違うけど……でも」
「ああもう! こうなったらはっきり言う」
彼は体ごと私に向き直って真剣に私を見つめてくる。
「お前が好きだ。つきあってほしい」
「どうしたのよ。変な物食べた?」
私はごまかすようにおどけて見せる。だが、彼は真剣な顔を崩さない。
「茶化すなよ。突然じゃねえし、ずっと好きだった。俺のこと意識してほしくてお前だけ名前で呼んでた。お前がチョコ持ってるの知ってさ、仲良くなりたくて毎日もらいに行ってた」
「え……?」
私は私で、彼のためにチョコを常備していた。
「今日、人ごみに紛れたら自然に手をつなげるかな、とか、かぼちゃをかぶれば緊張してるのもバレないかな、とかって必死だったんだ」
彼がそんなにいろいろ考えてたなんて、思いもしなかった。
「これだけばらしたんだから、お前も正直に言ってくれよ。好きでも嫌いでも。覚悟は決めた!」
顔をきりっとさせて、彼は言う。
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