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真夜中の拾参時
鐘の音が鳴った。
ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン。
不意に目が覚めて音を聞いていると十二回。深夜零時なのだろうか? それにしても迷惑だ。こんな時間に鐘が鳴るなんて、と考えて頭が覚醒し始める。この街に来て早五年。深夜の鐘なんて初めて聞いた。
昨晩、私は酒も飲めない下戸なのに、無性にイライラして五万円のウイスキーに手を伸ばした。いつも通り分厚いカーテンを閉め、冷房は二十二度。快適な一人の空間を作り出し、酒を飲んだ。不味かった。正直大人はみんな美味しそうに酒を飲んでいたから期待していたが、成人式の日に飲んだ缶チューハイ一本で気持ち悪くなり、嘔吐した過去がある。それでもストレスが溜まると、若気の至りで買った高級なウイスキーを飲んでしまう。まるで、リストカットのように、自傷行為でストレスを発散している。酒を飲んで嘔吐する感覚。吐き出すときに私の中にある黒いモヤモヤも一緒に吐き出している気がする。
ゴーン。
十三回目の鐘? 十三時なんてあっただろうか?
そう思って目覚まし時計に手を伸ばした。そのデジタルな目覚まし時計には十三時一分と表示されている。
私の頭ははっきりと覚醒した。
どうやら仕事に遅刻したらしい。
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