天使との二十四時間

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この心臓が今この瞬間に止まってもいい。そう思った時だった。ピカリと眩しい光を感じた。部屋の電気は消してあるはずだ。 (何?) 重い瞼を開けた時、真っ先に飛び込んできたのは真っ白な羽だった。純白の羽とドレス。そして、金髪のショートボブの頭の上には淡い光を放つ金色の輪っかが見える。ファンタジー小説に登場しそうな天使が、私の目の前に浮かんでいた。 「迎えに来てくれたの?それとも幻覚?」 掠れた声で訊ねる。すると、天使は天真爛漫という言葉が似合う笑顔を見せた。あんな風に最後に笑ったのはいつだったかな……。 「お迎えはお迎えだけど、まだ早いかな。幻覚ではないから安心してね!」 鈴を転がしたような声で天使は言う。天使は私の手に触れた。温かい。目の前の彼女の存在が現実なのだとわかる。 「私はデイジー。あなたが死ぬ二十四時間後まで見守りさせてもらいます。よろしくね!」 「二十四時間……」 私に残された時間はもうそれだけしか残っていないのか。だけど、この痛くて重い体がその証拠なのだとわかった。
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