天使との二十四時間

6/8
前へ
/12ページ
次へ
あまりにもベリーのスイーツがおいしくて、三人のLINEグループの名前を「MINAHO」から「ベリースイーツの妖精」に変更したくらいだ。 (スイーツ、おいしかったな……。もう二度と食べられないんだ) 友達と笑ってカフェでお茶を楽しむ。当たり前だと思っていた日常は、薄い氷の上に存在していたのだとこんな体になって知ったんだ。 目の前がぼやけた。気が付けば頰を涙が伝っていく。止めようと思っても止めることができない。 (草太……お母さん……太陽……夏妃……ほのか……) 大切な人の笑顔が頭に浮かび、離れてくれない。静かに泣き続けているとデイジーさんが涙を拭ってくれた。 「深月さんは優しいね」 「優しくなんかないよ……」 デイジーさんの言葉をすぐに否定する。でも彼女は「優しいよ。今まで見てきた人の中で一番優しい」と続けた。 「だって、家族や大切な人に弱っていく自分の姿を見てほしくなくて、自分がいなくなった後に悲しんでほしくなくて、嘘を吐いてまでみんなを傷付けたんだから」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加