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カフェにて
美しい木漏れ日が差し込む穏やかな日曜日。一組の男女がカフェのテラス席にいた。このカフェは裏通りを入ったところにあるため、人が基本的に少ない。落ち着いてコーヒーを飲みたい時にぴったりの場所だ。
男性の前にはコーヒーが、女性の前には紅茶が置かれている。女性に向かって男性は笑顔で話しかけていた。
「今度、新しいプロジェクトに参加させてもらえることになったんだ。深月もプロジェクトのリーダー頑張ってるし、俺も頑張らなきゃな〜」
女性はスカートを強く握り締める。それと同時に俯き、唇も噛み締めた。溢れ出てしまいそうな感情を殺す。そして、顔を上げた。女性の顔には表情が一才見えなかった。まるで、月に帰るために羽衣を着せられたかぐや姫のようにーーー。
「草太、別れてほしいの」
淡々と女性は口にした。その言葉に空気が凍り付く。男性は戸惑った様子で女性を見つめた。
「何で?俺、何かした?」
「嫌いになったの。草太の真面目なところも優柔不断なところも全部大嫌いよ!」
そう吐き捨て、女性は椅子から立ち上がる。男性が彼女を追ってくることはなかった。
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