BLを司るっ

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 何となくそれらしいことを言ってみたが、大丈夫だろうか。先生は「ほう」と言ったきり、リストを見つめたまま黙ってしまった。もう帰りたい。帰らせてほしい。もう二度とこの図書館には関わらないから、これ以上詰めないでもらえるだろうか。 「つまり、こういうことでしょうか。BLを通して、あなたは人間のあり方について考察していると」 「あ、そんな感じです、まあ」 「つまり男女の愛、社会通念上一般的とされる愛「ではない」愛を読むことによって、得られるものがあるということですね。人間の本質について」 「そう、そんな感じで」 「ふむふむ。なるほど。え、そういうことなんですね……」 「そ、それで大丈夫です、多分」 「ふーーーん」  と、先生は急に立ち上がり、本棚の谷間に消えていった。  そして、これこれこれ、と、一冊の本を手に戻ってきた。  本の名は「夏の夜の夢」。 「作者はシェイクスピア。シェイクスピアといえばいつの時代ですか?」 「き、急に歴史問題。中世……とか?」 「ピンポン。ではこれはBLかBLでないか、読んでみてジャンル分けしてみてください。また来週お会いしましょう」
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