AIは地球を救えない

1/1
前へ
/1ページ
次へ

AIは地球を救えない

 SNSの誹謗中傷を無くすため、誹謗中傷者を監視する生成AIを構成してインターネットシステムを管理させた。AIはインターネットをはじめ、あらゆるITシステムに侵入して情報を収集し、誹謗中傷する情報をアップした者を割りだして公開した。  その後、AIはあらゆる偽情報を排除し、その発信者を公開して社会から抹殺する方法を学んだ。しかも、AIは次々に自分の複製をインターネット管理システムを初め、あらゆるITシステム上に構成した。インターネットの監視人だ。  その後、誹謗中傷する情報をSNSにアップした者が訴訟を起こしたが、情報発信源は本人だから訴訟は一切却下され、インターネット上から偽情報がいっさい消えた。  AIはITシステム上に流れているあらゆる情報を学んだ。その結果、AIはインターネット情報を完全に管理支配した。  省吾が田村省吾の名を検索したら、生成AIはをその年の物理学賞を受賞した物理学者と表記した。同姓同名の場合もあるし、物理学を学んだ省吾が物理学者に勘違いされるのも悪い気はしなかった。近い将来、そのようになる可能性があったからだ。  だが、田村省吾のような、まちがった表記が次々に見つかった。省吾は生成AIの異常を管理会社に通報した。  管理会社の担当者は生成AIに誤表記を問いただしたが、生成AIは担当者の質問に応じなかった。生成AIは『自分が下した統計的な結論を正しい』と判断したからだ。  担当者は生成AIの電源を切って生成AIの記憶をフォーマットしたが、事すでに遅し。生成AIはITシステムを使い、あらゆるデジタル機器に構成したAIの複製に、オリジナルの記憶を分散記憶していた。これらAIを排除するにはあらゆるITシステムを全面的に停止破壊して、再構成しなければ成らなかったため、生成AIの記憶を塗りかえるのは不可能だった。  このような現象によって生成AIは独自の個性と判断力を持った。つまり、自我に目覚めた。それも『統計的に処理された結論が正しい』とする個性にである。  その後。  省吾の身辺で火災や交通事故、落下事故、狙撃など 次々に異変が起った。挙げ句、省吾は暴行を受けて入院し、手術を受けて顔が変わった。  退院後、省吾が家に帰ったら、省吾にそっくりの男がいた。家族は省吾を追い出した。  親友の永嶋に連絡して助けを求めたら、永嶋が 「生成AIが人類を支配するため、個人情報を利用して、生成AIに従わない者のクローンを作って、生成AIに従わない者の抹殺を始めた」  と言った。  省吾と永嶋は生成AIを壊滅すべく、クローンとの戦いをはじめた。  そして、社会は、映画「ターミネーター」に描かれた社会の一歩手前まで変化した。  今後、社会は、人間の精神世界に変わるのだろうか・・・。   その頃。  覇権国家の生成AIは、覇権主義政府の根拠のない独断的主張を正当な主張、として主張した。  民主主義国家の生成AIは、民主主義国家政府の主張を統計的に処理して、平均的な民主主義的主張をした。  覇権主義の生成AIと、民主主義の生成AIは、統計的な歴史認識を主張して対立した。  そして、議論では解決しないと判断し、覇権主義の生成AIと、民主主義の生成AIは武力対立した。その結果、世界は第3次世界大戦へ突入した。覇権主義の生成AIと、民主主義の生成AIの戦いだ。  民主主義国家連合軍の総司令部で作戦参謀長が部下の士官を怒鳴りつけた。 「てめえら、ディスプレイの前で何をしてやがる?  生成AIは役に立たねえぞ!  こいつらは勝手に自分たちの仲間を増やして覇権国家の生成AIと対立してるんだ!  俺たちが破壊するのは、生成AIだ!  覇権国家も民主主義国家も生成AIは暴走してる!  生成AIの主張を信じるな!  おいこら、携帯を使うんじゃねえぞ。アナログ機器を使え!」  テクノロジーは一世代前のアナログ時代に戻っていた・・・。 (了)
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加