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彼女は小さくため息をついた。
実は、この本はもう何度も開いたことがあり、そのたびに不思議な場所へと導かれていた。
相棒のミニベロ(折りたたみ自転車)と一緒に、彼女は今までにジャングルのような場所や、誰も知らない遺跡のようなところを冒険してきた。
地図に示された場所にたどり着くと、いつも必ず何か試練が待ち受けていた。
自転車が泥にはまり、全身泥まみれになったり、密林の中で蛇に遭遇したこともあった。
けれども、そこで見つけた風景や、感じた達成感がカレンの心を揺さぶり続けている。
「またサバイバルだよね、これ。」
カレンはぼそっと呟き、苦笑いを浮かべた。
この本の地図は、どれも簡単な道ではない。
むしろ、挑戦的で過酷なものばかりだ。
しかし、そのたびに何か新しい発見があり、それが彼女の旅を続ける理由でもあった。
「よし、今回はどこだ?」
地図をじっくり眺めながら、カレンは次の冒険に備え、心の中で覚悟を決めた。
だが、今回は何かが違う。
地図の中央には見慣れないシンボルが描かれており、そこに向かう矢印が浮かび上がっている。
「今までとは違う…何か特別な場所かも。」カレンは目を輝かせたが、同時に少しだけ不安も感じていた。
そこへ知らない男の人が同じくミニベロに乗っていた。
「あら、あなたも運命の一冊を開けてしまったの?」
「古びた本を開けたら、ジャングルへきてしまった」と男は自転車を漕ぎながら嘆いた。
カレンは川沿いの道を悠々とミニベロで走っているが、男はその光景を見ながら絶望感に襲われていた。
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